金剛屑石

アマチュアシンガー・ライター・絵本パフォーマー「金色の女将」の徒然なブログ。絵本についてはこちらに特化したブログあり。http://blog.livedoor.jp/sophia727/

丸谷才一先生


私淑する丸谷才一先生が文化功労者賞を受賞なさいました。
おめでとうございます!


私が丸谷先生の著書に触れたのは短大のとき。
国語学という学問があることをはじめてしり、とても面白いと思い、金田一春彦先生、外山滋比古先生の著書とともにご本を読み漁っていたものです。


先生のお説の中で一番最初に何に共感したかというと、
小学校の学習指導要領で「よみかえのかん字」があることについての一下りでした。
これは私自身が実体験があったもので。


なぜ「体育」ではなく「体いく」なのか、漢字の熟語であるからこそ意味があるのに「よみかえのかん字」を習うまでは使用してはいけないのはおかしいというお説でした。
そもそも「かん字」という使い方自体がおかしい。「漢字」の意味がないではないか、というような……。


小学校2年のとき、何の授業だったか、先生が「しゅん分の日」と書かれたことがあって、そのとき私は
「せんせー、「しゅん」って「春」ですよねー」と言ったんだけど見事にスルーされたことがありました。
そのときは「春」という漢字を「しゅん」と読むとは習っていなかったのです。
つまり私の一言は
よ け い な ひ と こ と
だったのね(笑)


そんなことをずっと不思議に思っていて、10数年たって丸谷先生のご本を読んだときに
「これだ〜!」と思い、以来丸谷先生のご本も読むようになりました。
丸谷先生はもともと英米文学者であるので、修辞的技法やレトリックについて大変造詣が深くて、それに関する著書も読みました。
一応ワタクシも同人のはしくれですのでそれなりに偏愛小説を(笑)書いておりますが、丸谷先生のこのレトリックについての文章を拝見して、それから修辞法を意識するようになりました。
まだまだヘタなのですが、今後とも勉強したいと思います。


ですから、実は丸谷先生の「女ざかり」が映画になったときは楽しみにしてました。
「女ざかり」は修辞法を壮大につかっていらしてなんというか読みながら倒錯感を覚えるのです。「不思議の国のアリス」を読んでるときのような。
それがどのように映像化されるのか期待大だったのですが……


単なるサユリスト動員映画でした。
大林監督には悪いけど、この小説をきちんと読み込んでないのでは?と思いました。
まあしかたないか。これが日本文芸映画の限界か……
などと思ったものです。


で、さきほどNHKのニュースで丸谷先生が受賞についてのコメントをおっしゃっていたのですが、
「遠くの人に伝わるように、身内だけで通じることにならないように、そんな気持ちでかいてきた」とおっしゃってました。


私も偏愛小説は、特撮キャラへの愛で書いてますが、フツーに読んだ方にも共感してもらえるようなお話を……と思って書いてます。ブログはすごく閉ざされた世界でかいてますけども(笑)


丸谷先生、これからももっともっと活躍なさってください!
本当におめでとうございます!